今回のプロジェクトの納期が残り1年に迫る中、開発規模は膨らみに膨らみ、当初見積りの2倍近くに
なっていた。人員が足りなくなり、急遽エンジニアをかき集めに動いた。稼働は迫り本来のスケジュ
ールは破綻しかけていた。そこに投入する人員の数は2倍で利かなかった。1ケ月数百人が張りつき、
1週間仕事がアテンドできなければ億単位のお金が吹き飛ぶような状態だった。
僕とこれまで多くの難しいプロジェクトを戦ってきてくれたメンバーが数名いる。彼らに頭を下げ、
佳境を乗り越えるため、あらためて協力をお願いした。やはり中核のプログラム群を研ぎ澄ますこと
に注力しなければ、人数をいくら投入しても問題は解決しなかった。そこからしばらく、会社に泊まり
込みが続いた。
「このプログラム、バケモンですよ」
「何でこんな設計するんすかね?」
「工数を節約したつもりなんだよ、これで」
主要メンバーたちと悪戦苦闘しながら、プログラムの精度を上げていった。
朝7時に顧客の事務所にその数名で訪れ、進捗状況の詳しい説明、課題の解決方法、稼働を実現する
ための我々からのお願いなどを、毎日実施した。それが終わると午後から事務所に戻り、作業を開始
し、日付が変わり朝方から少しだけ仮眠するという繰り返しだった。
「みなさん、寝てないでしょう?」
「もうやめてください。このままだと死んでしまう」
僕たちの働き方が常軌を逸してきたので、顧客がそう言い出した。
乗じてメーカーの担当者たちも同様にもうやめてくれ。と口にし始めた。そう言うのなら、納期を延ば
してくれと内心思っていたが、それとこれとは別物らしい。ザ・サラリーマンたちである。
その徹夜サイクルを何度も繰り返した中で、いくつかシステムの機能をそぎ落としてもらい、スケジュ
ールどおりの奇跡的なカットオーバーを迎えた。僕はその直後に倒れてしまった。