青函連絡船

今は八戸の手前のあたりだろうか
小椋佳の曲を聴いている
「飛べない蝙蝠」という曲だ
せつないという言葉が脳裏をかすめた

鎌倉のことを思い出したのだ
報国寺の竹やぶから空をあおぐ
ボーイスカウトの少女の後ろ姿が目にうかんだ

その風貌は春の光のように暖かい
だがうちに秘められた想いは
柔らかい面持ちとはかけ離れ、かたくななものだ

堅い殻を打ち破ろうとする姿と言葉が
たまらなく可憐でいじらしい
こんなふうに感じるのは
みちのくの旅の感傷にひたっているせいだろうか

一人旅をしているのか
電車にひとりの少年が乗り込んできた
時刻は夜中の11時
少年は座席に横になるのだが
眠れないようだ

僕もあんな小さな時に旅をしておけばよかった
もちろんひとりで

青森に着くやいなや
ほとんどの乗客が青函連絡船のほうへ駆け出した
つられて走っていくと、
改札口はもうかなりの行列だった

ざっと300人程度
こんなにいるのかと驚いた
座れるかなと心配したが
空席は残っていた

0時35分発の青函連絡船 大雪丸
船内を歩いてみたが
皆疲れているのか
眠ろうとしているひとがほとんどだ

ジャンが鳴り
ホタルの光が続いた
なんだか感動的だ

いよいよ本州を離れるぞ

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