透きとおった時間の終わり

青森駅に到着した
発車までまだかなりの時間がある
駅で食パンでも食べようと
構内に向かったけど
かなりの人が行き交うので駅の裏口で食べた

電車の乗り込んだあと、
今度小学5年生になるという
中村かずや君に出会った
親戚のおばさんのところへ遊びに行くという
東北訛りの入った話し方の無邪気な礼儀正しい少年だ

青森についていろいろ
教えてくれてありがとう
それからおばさんの家があるという浅虫駅で
一礼をして降りていった

雪はまだ少し残っているが
北海道ほどの寒さは感じさせない
盛岡までの4時間
死んだように外をながめていた

次の日朝早く仙台行きの快速に乗った
昼から雨が降るそうだ
そういえばそれらしき空模様だ

東北、北海道の旅を振り返って思うと
いたるところで目につくのは石川啄木

花巻 盛岡 函館 札幌 釧路と
移り住んでゆく啄木の軌跡をたどるような
旅をしてきた

啄木は最期には生活の苦渋を味わって
若くして死んでゆく
北の地とはなんと
悲哀が似合う場所なんだろう
またなんと魅力的な地であろうか

それから東北は僕の好きな高村光太郎が
晩年を過ごしたところでもある

苦しみの人生であったと
智恵子を失ったあと
山奥の小屋に住み
63歳以降の人生を自責の日々で送ってゆく
強い人間には何故このような過酷な人生が
ふりかかるのだろうか
いつか機会があれば光太郎を追ってみたい

仙台に着くにはもう少し時間がある
雨が窓をたたき始めた

こうしてみると東北は田畑がとても多い
雨が違和感なく調和しているのはそのせいかもしれない

10数人の女子高生が乗り込んできた
あまりの食欲のため驚いてみていると
パン・うどん・ジュース
・アイスクリーム。。
食べ続ける女の子と僕はつい
目が合ってしまい
吹き出してしまった

視線が全部僕の方に集まり、大騒ぎになった
懸命にどうにか平静を保った
言葉は交わさなかったが
彼女たちは降り際に手を振ってくれた

もうすぐ上野駅に到着する
短かかったけど濃い小さな冒険

透き通った時間と場所
またやってくるよ

20歳の旅はここで幕を閉じますが、また別の景色へと続いていきます。

これまでこの場所で綴ってきた『僕という入れもの』シリーズは終了しますが、
今またもう一度連作エッセイとして再編成しています。
海辺の街の出来事としてあらためて連作化します。もしよろしければ、

noteという新しい窓から会いにきていただけたら嬉しいです。

[ 連作エッセイ:『海辺の街の少年 ― 記憶の断片』まとめ ]
https://note.com/kajimoto71/m/m8cafdfcbde31

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