実家のすぐそばに母の兄―おじさんが住んでいた。
狩猟民族のような人で、
海に行けばタコや魚、川に行けばウナギ、山に行けばマツタケ。
何でも獲り方をよく知っていて、出かけるのが楽しみだった。

川へ行けば、ウナギを釣る仕掛けを沈めて、翌日引き上げる。
運が良ければ何匹か魚籠(ビク)に入れて持ち帰れた。
持ち帰れば自分でさばいて、かば焼きをご馳走してくれた。
山へ行けば秘密の場所を知っていて、マツタケがたくさん採れた。

中でも驚いたのは、おじさんは猟銃を持っていて銃弾を自分で準備した。
真鍮の薬きょうに火薬を詰めて、厚紙で封をし、散弾を込める。
子どもながらにその作業を見るのは本当に興味深く、
西部劇に出てくるアウトローが、
袈裟懸けにかける銃弾ベルトをつけて出かける時は心躍った。

山で猟銃を扱う場合よく小学生の僕を連れて行った。
幸か不幸かおじさんは目が悪く、視力を補うためだったと思う。
ある日、ヒヨ(ヒヨドリ)を撃ちに行くのでついて来いと言われた。
ヒヨは焼いても、煮てもおいしいのだ。

その日もおじさんの目の調子は悪く、鳥のいる場所を見つけることが出来なかった。
なのでヒヨを探すのはもっぱら僕の役目となった。
何度か一緒に出かけていたので、見つけるのはたやすかった。

僕がヒヨを見つけた時、おじさんが言った。
「撃ってみるか」
撃ってみたくてしようがなかった僕は、重い銃身を抱えた。
おじさんは銃の台尻を僕の肩に当てて、狙いの定め方を教えてくれた。
ヒヨが2匹ほど20メートルほど先の木の枝にとまっていた。

ゆっくり引き金を絞った。
「バン!」
子どものカラダにはとてつもなく大きな衝撃だった。
撃った後はしばらく震えが止まらなかった。

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