大分から阿蘇まで続くドライブコースに【やまなみハイウェイ】がある。
小学6年生の春に、修学旅行ではじめて訪れた。
先生方を含め、1学年総勢200人近くがバス4台で移動する。
遠足とは違い、親たちがいない環境でみんなと一緒に旅行するのは、
なぜか無意識にテンションが上がった。
普段過ごしている町を離れ、遠くへ移動することも、
子どもたちだけで外泊することも、
新しい世界の入口に立つかのようにわくわくした。
僕は旅行自体ほとんど初めてで、静かにその時間を楽しみたいと思っていたし、
他のみんなとは違い、大はしゃぎする彼らを外目に窓の外をずっと眺めていた。
初日は別府に泊まり、大きな宴会場に全員が集められ夕食をいただく。
確かすきやきがメイン料理で、肉の奪い合いをしながら食べたように記憶している。
次の日にバスに乗り込んで阿蘇へ向かう道のりが、やまなみハイウェイ!
高原を突っ切るこの道は、新緑の草原の中をなだらかに一本だけ通っており、
このまま天国へ続いているじゃないかとその美しさに目が奪われた。
子どもながらその美しい風景に魅了され、
デジャブのような別の世界が存在するかのように感じた。
実は大人になってふたたび訪れた。
それは修学旅行の時とは、まったくシチュエーションが異なっていた。
朝まで行きつけのスナックで飲み明かした東京から、
一緒に飲んでいた仲間を連れて、飛行機で久住高原に降り立った。
僕は飲みながらしきりに高原へ行きたいと言っていたらしい。
飲み仲間のひとりが九州出身で久住高原がいい。というので、
その場で即断し、みんなを連れて飛び立った。
その久住高原が修学旅行で見たやまなみハイウェイだとは気づかずに降り立ち、
美しい景色があの時に見たものとまったく変わっておらず、
その場ではじめて記憶が蘇ってきて、感動をふたたび味わった。
僕は年を重ね変わって行っても、この場所が変わっていないことが嬉しくて。
僕の中にある記憶が呼んでくれたのかもしれない。