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突撃ラーメン
高校生の時、友達と3人でラーメンを食べに行った。 てっちゃんとセイチンと僕の3人だ。てっちゃんは柔道部で県大会で入賞する腕前だった。セイチンは陸上部で高跳びの優秀な成績を残していた。 ラーメン屋は、完食すればタダ。という有名な店だった。その... -
ブルーワーカーの代償
僕の母親の兄妹は12人という大人数。母親は下から2番目だ。長男は戦死し、姉妹の多くは大阪で暮らしていたが、僕の家の近所には、猟銃のおじさんと、母親のひとつ上の姉に当たるトシノおばさんがいる。 トシノおばさんは時々僕のうちに来て、母親と世間話... -
電車が止まった日
小学校の同級生ユウくんとの強烈な思い出がある。ユウくんは、生まれつき両足が不自由だった。ひとりで歩けるけれど、体を揺らしながら人一倍エネルギーを使う歩き方だ。なぜか僕はユウくんの身の回りのことを手伝うことが多かった。他の人たちもそれが当... -
猟銃
実家のすぐそばに母の兄―おじさんが住んでいた。狩猟民族のような人で、海に行けばタコや魚、川に行けばウナギ、山に行けばマツタケ。何でも獲り方をよく知っていて、出かけるのが楽しみだった。 川へ行けば、ウナギを釣る仕掛けを沈めて、翌日引き上げる... -
ふと、向田邦子小説の一節
以前読んた向田邦子の小説で、彼女の体験談に下記のようなものがある。 なぜか、ふとその一節を思い出した。 夜タクシーで帰宅することにし、 自宅のアパートの前で止めてもらった。 「ご苦労さま」 と声をかけ、料金を渡すために運転手に右手を差し出した... -
苦いジュースと太陽の笑顔
僕は小学3年生の時に腎臓の病気にかかり、1ケ月ほどの入院生活を終えて自宅に帰ってきた。運動禁止、絶対安静、塩分食禁止、力が入ろうはずもない。フラフラするなと思ったらひどい貧血だった。慢性腎炎は貧血を起こすことが多いらしい。 塩分が取れない... -
三角山と赤い水晶
僕の実家は瀬戸内海に面した小さな町の真ん中あたりにあり、後ろには、標高800m超の高原を擁する山の国立公園があり、そのすぐ斜め下に、三角山という僕ら仲間の中で大切な山があった。 三角山はその名のとおり、頭が三角の形状をしている。もっぱら幼馴染... -
転校生
小学2年生の時、僕のクラスに東京から転校生がやってきた。田舎の小学校では見たことがない垢ぬけた女の子で、男子生徒全員の落ち着きがなくなったように思えた。僕の日常はその日以来、単色だった景色がカラーになった。 その子は勉強も出来たし、スポー... -
トングの痛い思い出
僕は小学3年生の時に腎臓の病気にかかり、1ケ月ほど入院していた。当初、原因は定かではなかったけど、外から入った菌で扁桃腺に炎症が起き、ミートボールくらいに腫れてしまい、それで高熱を発し、腎炎を併発したということだった。 慢性腎炎を治す薬はな... -
シンジの涙
小学3年生の授業の最中、突然シンジが暴れ出した。教室の後ろに生徒のカバンを納める棚があり、その棚からいくつものカバンを掴み出し、放り投げはじめた。 クラスの誰かに悪口を言われたらしい。「バカタレが!」シンジは毒つきながら、今度は水の入った...