2025年– date –
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ふと、伊集院静の小説の一節
以前読んだ伊集院静の小説で、実話がもとになった話がある。 離婚した主人公が、高校生になった娘と14年ぶりに再会するという物語。ふたりは上手く話せないまま、学生野球のリーグ戦を観戦することに。試合は六回を過ぎ、八対〇のワンサイドゲーム。負けて... -
クリスマス
幼稚園に上がる前に、初めてのクリスマスを迎えた時の話。 クリスマスでは、欲しいものを届けてくれる人がいるらしい。サンタクロースというおじいさんが、寝ている間に、枕元に欲しいものをそっと置いてくれるらしい。 僕は、その頃、三輪車をほしがって... -
仮面ライダーカードの功罪②
仮面ライダーカードの是非を決定する日がやってきた。全校の学級委員が音楽室に集まった。音楽室は、後ろの席になるにしたがって、段差が高くなるすり鉢状の部屋だった。1クラス2人の学級委員、6年×4クラス、合計48人ほどが集まり、先生を含めると50人... -
仮面ライダーカードの功罪①
小学4年生の春を迎えた。クラス替えはなく、小学3年と同じクラス編成だった。ただ3年生の時の担任のおばあちゃん先生から、男の先生になった。生徒たちは、おばあちゃん先生を舐めていて、少しクラスが荒れ気味になっていたのだ。 その新しい先生は教室に... -
母の強がりとため息
僕は日頃、父と会話することは少なく、何となく距離を感じていた。その時代の男はそういったものだったと思うし、僕自身もそういった「男は黙って・・・」という側面を持っていると思う。 ただ父はなかなか厳格な人で、細かいことにもうるさいところがあっ... -
ヒッチハイク
僕の実家は、瀬戸内海に面した小さな町の真ん中あたりにある。後ろには標高900mほどの国立公園に指定されている山々がそびえている。この山にはレストランや娯楽施設などがあり、田舎町のわずかな観光地のひとつだった。 大晦日にこの山を目指し、初日... -
突撃ラーメン
高校生の時、友達と3人でラーメンを食べに行った。 てっちゃんとセイチンと僕の3人だ。てっちゃんは柔道部で県大会で入賞する腕前だった。セイチンは陸上部で高跳びの優秀な成績を残していた。 ラーメン屋は、完食すればタダ。という有名な店だった。その... -
ブルーワーカーの代償
僕の母親の兄妹は12人という大人数。母親は下から2番目だ。長男は戦死し、姉妹の多くは大阪で暮らしていたが、僕の家の近所には、猟銃のおじさんと、母親のひとつ上の姉に当たるトシノおばさんがいる。 トシノおばさんは時々僕のうちに来て、母親と世間話... -
電車が止まった日
小学校の同級生ユウくんとの強烈な思い出がある。ユウくんは、生まれつき両足が不自由だった。ひとりで歩けるけれど、体を揺らしながら人一倍エネルギーを使う歩き方だ。なぜか僕はユウくんの身の回りのことを手伝うことが多かった。他の人たちもそれが当... -
猟銃
実家のすぐそばに母の兄―おじさんが住んでいた。狩猟民族のような人で、海に行けばタコや魚、川に行けばウナギ、山に行けばマツタケ。何でも獲り方をよく知っていて、出かけるのが楽しみだった。 川へ行けば、ウナギを釣る仕掛けを沈めて、翌日引き上げる...